【フジロック'12出演記念】 Refusedのフロントマン デニス・リクセゼンの活動をざっくりおさらいする

スウェーデンが生んだ伝説のハードコアバンドRefusedがフジロック'12出演決定ということで、
Refusedのボーカル・フロントマンであり、スウェーデンパンクのゴッドであるDennis Lyxzen(デニス・リクセゼン)の活動をざっくりおさらいしてみようと思う。

デニス・リクセゼンは1972年スウェーデンのUmea生まれ、1980年代末よりバンド活動を開始し、1990年代半ばにポストハードコアバンドRefusedにて世界的な知名度を得る。Refused解散後は、ガレージロックバンドThe (International) Noise Conspiracyを結成し、その他Invasionen、AC4など、様々なバンド・ユニットにて多彩な活動を行っている。また2005年には故郷Umeaにてレーベル「Ny Vag」を設立、Umeaパンクロックシーンの隆盛に一役買っている。


デニス・リクセゼンの素晴らしい所は、在籍バンドがStep Forward、Refused、Final Exit、The (International) Noise Conspiracy、Lost Patrol, Invasionen, AC4 etc.と多岐に渡りながらも、それぞれが異なる音楽性を主張していてかつ超絶名盤を残していると云う、抜群のセンスの良さにある。
(また、スウェーデン国内で「最もセクシーな男」に選出されたこともある程のイケメンである)


しかしながら、デニス・リクセゼンの素晴らしさが日本のメディアできちんと紹介され、洋楽ファンに浸透しているかと、割と惨憺たる状況であるように思える(Refusedの伝説的名盤「The Shape Of Punk To Comeは日本盤の発売さえ行われていない)。
僕もデニス先生の仕事をきちんと追えている訳ではなく穴ぼこだらけではあるが、日本におけるデニスの知名度を少しでも上げるべく、彼のキャリアを纏めてみたいと思った次第である。




Step Forward [1989-1991]

Refused結成以前にデニスが組んでいたバンドである。
Umeaにおいて最初に組まれた、ストレートエッジ・ハードコアバンドだったらしい(Wikipedia情報)。
当時18歳位だったと思われるデニスの声はまだ成熟しておらず、音に革新性があるわけでもないが
猪突猛進ぶりが気持ち良い。
デニスの原点を伺い知ることが出来る。

ディスコグラフィー(CD)は廃盤だったが、Amazonで12年3月末より
MP3での購入が可能になるようだ。

It did make a difference

It did make a difference




Refused [1991-1998]


Step Forward後にデニスが組んだのが、後に伝説と呼ばれるハードコアバンド、Refusedである。
メタリカ等に影響されたニュースクール・サウンドを基調にしつつも、
1997年発表の「The Shape Of Punk To Come」においてはジャズ・テクノ・ファンク等の
要素を取り入れたフリーキーなハードコアパンクを完成させ、世界中の注目を浴びる。
しかし、アメリカツアー中のメンバー内のすれ違いにより、バンドは突発的に解散してしまう。


お奨めはやはり「The Shape Of Punk To Come」。
ポストハードコアの未来のあり方を示した名盤。


Shape of Punk to Come

Shape of Punk to Come




Final Exit [1994-1997]

Refused活動中のお遊びセッションから始まった別プロジェクト。
デニスはベースを弾いている。Refusedがニュースクールを基調にしていたのに対し、
Final Exitはオールドスクールなハードコアである。
2枚のスタジオアルバムを完成させているが、Refused解散と共に霧消。
(但しRefusedより先に、2007年に再結成ライブを行っている)

アルバム2枚(LP)とライブDVDをあわせたディスコグラフィーが発売されているので、
気になった人は是非↓

http://www.refusedfan.com/fediscographylp.html




93 Million Miles [1997-1998]

Refused解散からThe (International) Noise Conspiracy結成の間僅かに行っていたプロジェクト。
内容もRefusedからT(I)NCへの過渡期の音と言えば良いのだろうか。
普遍的なロックに多少近寄り(キーボードの投入)、デニスもRefusedと比べると大分歌い上げるようになってはいるが、T(I)NC程のドラスティックな変化は遂げていない。

デモ音源を収録したCDが一枚だけ出ている。悪くはないが、無理に聴く必要はないと思われる。






The (International) Noise Conspiracy [1998-present]

Refused解散後、デニスはハードコアからいったん距離を置き、ロックンロールを始めた。
革命的騒音集団The (International) Noise Conspiracyの結成である。
2000年代初頭のロックンロールリバイバル時に同郷のハイヴスと共に紹介されていたので、Refusedよりは知名度があるかもしれない。
「The Shape Of〜」を完成させたデニスの類まれなるセンスがここでも爆発する。
政治的メッセージ性の高い歌詞、うねるベース、効果的に差し込まれるキーボード。モッズ・ジャズ・ファンク・パンク・ハードロック等を絶妙にブレンドした、クレバーかつヒリヒリしたガレージ・ロックンロールサウンド
個人的に3rdアルバム「A New Morning, Changing Weather」のカッコよさは、「The Shape Of〜」を超えていると思っている。
現在も活動中。

ニュー・モーニング、チェンジング・ウェザー

ニュー・モーニング、チェンジング・ウェザー




The Lost Patrol→The Lost Patrol Band→Invasionen [1999-present]

The Lost Patrol

ハードコアから離れT(I)NCを結成したデニスは、更にソロプロジェクトを開始した。
それがThe Lost Patrolである。
それまで狂ったように叫びまくっていたデニスが、歌モノポップスでは
硬質でセクシーな歌声を聴かせる。

「The Lost Patrol」名義では2枚のアルバムが出ている。2ndがお勧め。

Songs About Running Away

Songs About Running Away




The Lost Patrol Band → Invasionen

The Lost Patrolとして2枚のポップアルバムを出した後、また別のことがやりたくなったデニス。
今度は初期パンク、パワーポップに接近する。
バンドメンバーを集め、「The Lost Patrol Band」を始動させる(同名バンドとの呼称問題により、後にInvasionenに改名)
これがまた超絶カッコイイ。簡素なパワーポップサウンドだが、シンプルだからこそ、デニスの作曲センスがバリバリに光る。
現在も活動中。

The Lost Patrol Band時代の「Automatic」がお勧め。

Automatic

Automatic




AC4 [2008-present]


Refused解散後色々と活動してきたデニスだが、やはりハードコアが恋しくなったのか、
再びハードコアバンド「AC4」を始動させる。
原点回帰というか、ストレートなハードコアサウンド一辺倒なのであるが、
やはり楽曲の練られ方がそこいらのバンドとは段違いである。
1枚のアルバムをリリース。現在活動中。

アルバムは今のところ一枚しか出していないが、お勧め。

Ac4

Ac4




Instangd [2008-present?]

色々やりたいデニスはついにドラムを始めてしまう。
これは入手できなかったので何とも言えないのだが(すみません)、
AC4以上のロウでストレートなハードコアサウンドであるようだ。
恐らくこの音の粗さはわざとやっているハズ。
活動中かどうかは不明。




The Bloody Beetroots feat. Dennis Lyxzén - Church of Noise (2011)

これはデニスメインの音源ではないが、一応。
イタリアのアナーキーエレクトロユニットTHE BLOODY BEETROOTSとのコラボレーション。
Refused「New Noise」をモロに彷彿とさせるデニスの咆哮に痺れる。




…とまあ粗いながらもデニス・リクセゼンのキャリアを追ってみた。
要するに僕が言いたいのは、デニスはセンスの塊みたいな御方であり、
僕にとってのパンク・ゴッドですよ、ということである。

そのお方がついに日本上陸、しかもRefused再結成という夢のような形で…ということで
いまからフジロックが超絶楽しみである。


あと言い忘れたが、デニスが真に映えるのはステージの上のパフォーマンスである。
これが30代後半の動きか!?